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日本の文様

美しさを褒め称える時などに使う「あでやか」という言葉。意味は 美しさや上品さのなかに華があり、どこか色っぽさを感じることを言います。美しさといえば控えめな美しさや、儚げな美しさや、素朴な侘び寂びある美しさなど様々ありますが、それらとはまた違った「華のある美しさ」が「あでやか」というわけです。

そんな「あでやか」な花といえば、牡丹を挙げる方も多いのではないでしょうか。「百花の王」とも言われ幸福や富貴、高貴などを表す花の文様として、文学や美術品、着物やうつわなどに用いられてきました。

中国原産で平安時代頃には日本でも栽培されていたといわれています。
伝来した当初は薬草として用いられていましたが、のちに花の美しさに注目が集まり、観賞用として重用されるようになったそうです。中国語でも同じように書く「牡丹」の「丹」と言う字が不老・不死の仙薬を意味することから、不老不死、不老長寿という意味も持っています。

うつわの文様として時々見受けられるのが、百獣の王、獅子との組み合わせ。いわれは能の演目「石橋(しゃきょう」の、牡丹とそれに戯れ遊ぶ唐獅子からきており、めでたい組み合わせです。
ちなみにこの唐獅子牡丹の場面は、白獅子と赤獅子が登場し、絢爛豪華で美しく猛々しくも、どこか可愛らしく見える素晴らしい舞です。舞台演出の牡丹の花や激しい囃子も相まって、見る人をわあっと明るい気持ちで満たしてくれるとても珍しい舞なのですよ。唐獅子牡丹の図柄を見つけたら、ぜひそんなワンシーンも想像してみてください。

さて、話を牡丹に戻しましょう。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」とは女性の美しさを表す言葉として耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。「座れば牡丹」とは、茎が低く横にはう牡丹を、落ち着いて座っている美人に形容しているのですね。
このように牡丹の花は、美人を表す言葉として使われてきた歴史があったり、女性の着物の図柄として用いられたりしてきたことから、日本では「女性的な花」と捉えられているように思います。

百花の「王」や「風格のある振る舞い」「壮麗」などと表現され、皇帝たちに愛されたという中国での牡丹の捉えられ方とはまたニュアンスが異なる点はまた面白いですね。

ちなみに、女性である筆者ですが「牡丹のようなあでやかな女性」を考えてみたところ、歌舞伎の女形のような女性を思い浮かべました。役者さんの演じる女形は、豪奢な着物にも負けぬ美しい立ち振る舞いやふとした奥ゆかしい表情を持っていて、女性よりも女性らしいですものね…。牡丹の花の絹のような花びらが何重にも重なった優雅でふくよかな姿は、まさに雅な着物に包まれた女形役者さんそのもの。
皆さまは牡丹のあでやかな美しさを何になぞらえますか?

牡丹といえば春と思っていたのですが、春に咲く葉のある牡丹を春牡丹、冬に咲く葉の少なめの牡丹を寒牡丹と言うそうです。
そして、季節を1ヶ月先取りするのが良いとされる着物の世界では、牡丹は少し早めに11月頃から着用するもお洒落な着方だといわれているそうです。
骨董のうつわにもよく見受けられる牡丹。一緒に使う食器や、盛る食べ物などの組み合わせで寒牡丹を見立てて春以外に使ってみるのも楽しそうです。

陶磁器だけでなく漆器などにもよく登場する牡丹文様に、ぜひ注目してみてください。そのあでやかな美しさをより一層感じ取っていただけるはずです。

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